アマヤドリ -406ページ目

燐粉

楽しい本番が終わった。
ライトの熱さもスモークの匂いも満喫。しっかり床を踏んで空気を吸って。

本番が終わると淋しい。
一緒に頑張ってきた仲間との別れも勿論だけど大好きな舞台にまたしばらく上がれない事への淋しさ。

「またね」と最後手を振ったけれど再び皆で集まる事はきっとないだろう。一回きりの、でも貴重な出会い。だからこれでいいのかもしれない。
さっ、また次を目指して頑張ろっと。

女の子の幸せなひとときを垣間見てみる

気持ち良く晴れた。朝起きて一番に川を眺められる部屋ならいいのに。
きらきら眩しくて目を細めたい。

昨日は友達とブルゴーニュ地方風のクレープの料理屋に行った。

クレープ…というと私は原宿で女の子達が食べているキャラメルクリームにバニラアイスみたいのしか知らなくて、クレープで料理?とあまり想像がつかなかったんだけど、行ってみたら、クレープ料理って言われたらこれしかないか、というようなものでした。

フランス帰りのその友達によればブルゴーニュといえば、そば粉のクレープとシードルだそう。

お店の雰囲気はめちゃめちゃ可愛いし、お腹いっぱいおいしいクレープを食べた。

シードルは素焼きの小さいどんぶり茶碗みたいなもので飲む。

こういう可愛いお店や、友達の家に行くと自分も部屋を何とかしたくなる。照明とか、絵を描いてみたり…とにかく色々。


最後のデザートは私の知っているようなクレープそのものでした。クリームにシロップとたっぷりアイスがのってる。

また行きたい。行こうね、また外国に行っちゃう前に。

閉じた空

仕事の都合でO市に来ている。

この街ってこんなに賑わっているの?人が多くて歩けない。人込みは苦手だ…

空いてる電車で遠くに行くのは好きだ。座席に座ると条件反射的に眠くなる体質なのでメールでもしない限りうとうとしている。たまに目が醒めると景色が変わっているなんてすごい贅沢。

人気のない駅なんかも大好き。さっきの駅とは気温が少し違ったりしている。
空気には細かい霧が立ち込めてる気がする。

空はどこまでも続き、世界を覆っている。追い掛けても追い付いても限りがない。
優しくもなく厳しくもなく…ただあるだけ。

ふと見た横顔

毎日本当にあったかい。冬は来るの?

帰りの電車から煙草を吸ってる女の子を見た。

授業の合間のベランダの柵から細い腕を垂らし何を見るでもなく煙を空気に乗せる。

そんな女の子の姿は私にとって少し憧れだ。


冬になって吐く息がもくもく白くなると外で煙草を吸いたくなる。

『天使はこの森でバスを降りた』の女の子みたいに。煙草は男の子の吸うみたいな太いのじゃなきゃ駄目。想いを誰にも悟らせない瞳は長い髪を弄ぶ雪まじりの風にも揺らがない。

瞳の先には暗い森。


でもただの憧れだけど。髪は長くないし、腕もほそくない。

しなるもの

雨は好きだけど通勤時に濡れるのはやはり嫌だなあ…。今日も靴と裾が濡れて気持ち悪い。足が冷えてアキレス腱がずきずき。やれやれ…。
近くのコンビニの角にいつも猫がいる。黒と濃い茶のヤツ。小さくて人懐こくて可愛らしい。煮干しをあげても大して喜ばずぼそぼそ食べる。いつもコンビニのいいもの食べてるんだろうな。

あいつは今日どこから雨を眺めていたのかな。毛が湿って嫌だっただろう。舐めても舐めてもしっとりかよお!って。


猫のアキレス腱を触るとこわくなる。

すごく危うくて張り詰めていて触っていると足がぞわぞわする。