ふと見た横顔 | アマヤドリ

ふと見た横顔

毎日本当にあったかい。冬は来るの?

帰りの電車から煙草を吸ってる女の子を見た。

授業の合間のベランダの柵から細い腕を垂らし何を見るでもなく煙を空気に乗せる。

そんな女の子の姿は私にとって少し憧れだ。


冬になって吐く息がもくもく白くなると外で煙草を吸いたくなる。

『天使はこの森でバスを降りた』の女の子みたいに。煙草は男の子の吸うみたいな太いのじゃなきゃ駄目。想いを誰にも悟らせない瞳は長い髪を弄ぶ雪まじりの風にも揺らがない。

瞳の先には暗い森。


でもただの憧れだけど。髪は長くないし、腕もほそくない。