アマヤドリ -402ページ目

明星をうつす雲

桜は何て微妙な色なんだろう。毎年桜の花が咲くとこんなにも白に近かっただろうかと改めて思う。
歩いていて咲いているのをこんなにも意識する花が他にあるだろうか。金木犀も香りですぐに気付くけれど。
電車に乗って遠くに行ってみてもどこの桜も申し合わせたように花をつけている。あの幹のどこで気温や光を感じるのだろうか。蕾が…だろうか。

友達は無事帰国した。当たり前だけど安心した。
薄情な私は特別な事がないと自分の気持ちにさえ気付かない。
よかった。帰ってきてくれて。

また、髪の夢

禿げた夢を見た。
いつも髪は横分けにしているのだがふと頭の真ん中を見るとキレイにツルツルになっている。そして天辺はぼそぼそと死にかけの髪残っているばかり。
鏡を見ながら困ったなあ…という感じでまた横分けに戻し、まあこうしとけばバレないかな、と結構軽く受けとめていた。
雰囲気的にはその禿は一過性のものではなく二度と生えてこない事が分かっていながらも、あの落ち着き。
我ながら天晴れだった。
レディー用かつらを着用することも頭をかすめたが、実際にはあまり危機感はなかった。

イカルス

夕日を見ながら家に帰るのを長い事切望していた
今薄水色の空には橙色に照らされた雲が流れている

一日の終わり
今日の太陽はもう燃え尽きて遠い西の海に落ちてしまう
一瞬一瞬変わる空気の色は二度と戻らない
目を開いてしっかりと焼き付けても足らない

どうして「二度とない」なんてあるのだろう
取り返しのつかないものなんてなければいいのに
一瞬一瞬終わりに近づいて羽が溶けていっても私は明日を目がけて翔ぶ

薄い空の青が灼けて白くやがて何も見えなくなっても

舞台終了!

舞台が終わった。
始まる前には長いリハ期間があったように思ったが終わってみるとあっという間。
色んな葛藤・焦り・諦め…があった4ヶ月だったけれどどうにか自分の信じる世界の中で出来たように思う。観に来てくれた皆さん、本当にどうもありがとうございました。
終わってお客さんの顔を見たとき、にこにこと感想を言ってくれた時、本当にやってよかったと思う。そんな顔を見たくて、そんな風に誉められたくてやっているのかしら、私は。そう考えると子供っぽい。でもいいんだ。やはり舞台は自分が楽しんでなんぼ、だもの。自分が胸がいっぱいになる瞬間、我を忘れ時間を忘れ光と溶け込む瞬間、そんなほんの一瞬が私とお客さんをつなぐのだから。私が外界と通じ合ったように思うその瞬間が、大好きだから。
好評だったのでもしかしたら再演するかもしれない。拡大・深みを増したバージョンで。楽しみ。

昨日は疲れからか一日気持ちが悪くてぐうたらしていた。
ひょっとしたら頂いた差し入れのお菓子の食べすぎかもしれない。これで本番やつれも解消…残念ながら。あ~だってこんな時にしかやつれたりしないのに。終わるとそれを補う以上の食欲を出してしまうんだよなあ。
寝汗がひどくて体が痒かったくらい。

朝方5時頃ふと目が醒めた。体の痒みか、お手洗いでか…とにかくふと。
そして舞台が終わってしまったことを実感する。
私は自由だ。
でもまた孤独になった気がする。
大好きな人たちとたくさんのもの、深くを共有してしまったから、それから引き裂かれるこれからの日常が辛い。慣れてしまえば何てことないんだけど。今は、まだ。
そしてそういう痛みを、いつまでも感じたい。
辛いけど、慣れなくて良いんだ。
だって、大好きな舞台が終わってしまったんだもの。

たいじのこどう

ひざしをあびたうぶげがひかりのいとになってあたたかいおひさまのにおいをだいてすわっている
とてもちいさなかげはまあるくきっちりくうきをきりとるように
いきはひそめているかのようにあさくきえてしまいそうでしかしくっきりと
なにがどんないろにどんなふうにみえているの
おしえてほしい
ひたいどおしをくっつけたらそれがわかるきがした
やわらかなしびれるようなあたたかみとともに
わたしのまぶたにもそれがみえるきがした