アマヤドリ -401ページ目

ナゼ

何故帰ってきてしまったんだろうな。
なぜここまできちゃったんだろう。
ただ私は一人じゃいられないと確認しただけなの?
景色を見ても何かを食べてもそれを分かち合えなければ淋しい。それを思い知っただけなの?

でも、だからこそ。
普段、毎日がそうだからやめようと決意したのだったよね。
味も色もこのままじゃ感じなくなってしまう。だからここにいても仕方ないと決断したのだったよね。

何でこんなに情けないの。
これじゃあ何にもわかってもらえない。何にも決断じゃなくなっちゃう。

どうせ、かえってもまたすれ違うだけ。恐い思いをするだけ。もう変われない。全然、違うもの。
自分をずっと顧みた。間違っているかもしれないと疑った。でも、
限界だ。

たぶんこれ以上繰り返したら、
何かを壊してしまうことになる。

永遠の落下

昨日ふらりと秩父へ行ってきた。「ふらり」といける距離だったことに驚き。
突然行ったからか、自分の体と景色がなかなか馴染まなかった。夢の中にいるような周りとの距離。ぽっかりと自分だけ色が違うみたい。不思議な温度差があった。

日記に書いているせいか、どこにいっても金木犀が気にかかる。意識しなくても向こうから匂いが飛び込んでくるのだけれど。
ごく弱い霧雨の中ふと香りがして探すといつのまにか隣にいる。つい「また会ったね」という気持ちになる。

知らないところに一人で行った緊張感からか帰りはぐったりと疲れていた。座席に沈み込むように眠り、たまに目を覚ますたびに行きとは逆に山が消えて霧が晴れてゆく。車内も賑わってくる。
それとともに私にも色が戻る。体温も馴染んでくる。
目を閉じて、騒めきを肌で感じた。

いつのまにかすっかり体が冷えていた。
熱いお風呂に入って旅のことを思い出す。ひとり旅のわくわくも山や川をみた感動も、水の音も雨の冷たさもとても遠い感覚に思えた。
それはまるで澄んだ湖に大事に沈められゆく小さな骨のようだった。洗われた骨はゆらゆらと揺れ時折光を受け白い光を目の奥に残す。
とても澄んでいるから、私はいつでもそれを覗き込むことができる。大事な宝物がまだあるか確認するみたいに。

それは今もゆっくりと深い底を目指している。
でももう決してそれをこの手にとることはできない。

弟クンの結婚式

昨日は彼の弟の結婚式
ドレスと靴とアクセサリーまで買った程の気合いで臨んだが、固くなる必要もなくとても素敵な式だった。

式の舞台裏を朝から身近で見たのは初めてだったが、私には「本番でいっ☆」というワクワク感がたまらなかった。つけまつげしたり爪付けたりいつもはしない化粧をしたり…そんな後ろでお母さんたちがどたばた出て行く。

彼の弟は19歳だ。親も若い。だから色んな事を迷う。調べる。小さく失敗する。悩む。きっと19歳の弟くんにはわからないだろうな。親は親だとまだ思ってる。でも私はその二つの年代の間にいるからその未熟さも勢いも理解できる。
でも…そんなこんなを笑い飛ばす明るい人たち。大事なのは気持ちだから、と朗らかに優しい人たち。
二人は出来ちゃった婚なのだが、結婚の意志を伝えた時に父親は「若いからといって恥じることはない。幸せになりなさい」と言ったそうだ。
式の最後には両家族ともぼろぼろ泣いてしまって、少し可笑しかった。

まだ私なんか家族ですらない。彼との付き合いだって短い私を素敵な式に親族同様迎えてくれてありがとう。
何だかとっても好きになってしまった。

トモダチ

友達に会った。
もう気心も知れてるしお互いの幸せを祈ってるから心があったかい。
体にいいものを食べて、新しいことを学びたいという意欲を貰った。
いい奴だ。
多分うまく行けば近いうちに外国へ嫁ぐ。勿論淋しいけど私らの友情がワールドワイドに広がると思えばワクワクもする。きっといい友達をみつけて助けてくれる人も得てうまくやっていけると思う。それだけの力も運もあると思う。
ただ…男運だけは最悪なんだよなあ…。でも次はいい人だと信じる。
大事にしてよね、旦那さん。
私の手の届かないとこに連れてくからには守りぬいてくれなきゃ困るからね。

震えるちいさなしっぽ

冷たい雨といってももう刺すような痛みはない。
空の高いところにも春はいて雲をとかしているのだろう。

雨と嵐の季節になったらあの私の大事な猫は大丈夫だろうか。
独りで雷が恐くて震えるんだろうか。
大丈夫だよ、っていってあげたい。大丈夫だよ、かみなりさまはこの屋根を破ったりはしないから。
大丈夫だよ、どんな事があっても私が守ってあげるから。


そう、やくそくしたのにね。